出勤用のネイビースーツ、大事な商談で使うダークカラースーツ、結婚式用のブラックスーツなど、シーンに合わせて何着もスーツを持っているのに「革靴はいつも同じ」になっていませんか?
革靴には、フォーマルシーンで履くタイプ、ビジネスやカジュアルなシーンでも履けるタイプがあり、その時々によって使い分ける必要があります。
社内、社外、外出先で知らないうちに恥をかかない為に、今回はビジネスシューズの正しい選び方と、おすすめコーディネート例を紹介します。
革靴のフォーマル度を決めるポイントまず始めに
格式の高い場では、それ相応の礼装が求められるように、シューズに関しても、服装に見合ったフォーマル度の高い革靴を選ぶことが重要です。
まず始めに、革靴のフォーマル度を決める基本事項から見ていきましょう。
内羽根・外羽根POINT
フォーマル度を大きく左右する要素が、羽根と呼ばれる靴紐を通す部分の形状です。
その形は「内羽根」と「外羽根」の2種類があります。見た目、適切な利用シーン、歴史などが異なるので、1つずつ確認してみましょう。
冠婚葬祭は内羽根
革靴と羽根が一体化しており、全ての紐を縛ることで足の甲を完全に隠せる内羽根。
ルーツはイギリス王家から始まったと言われており、フォーマル度が高く、品のある佇まいが印象的です。
内羽根靴はもともと室内での正装時に履く靴で、式典などで着用されていたことから、冠婚葬祭に最適な格式の高いものになります。
ビジネスシーンで履くのももちろんOKですが、スーツやスラックスなどドレススタイルに合わせましょう。
ビジネスには外羽根
羽根は独立しており、靴の上から覆いかぶさるように配された外羽根。
ルーツは軍用のロングブーツで、脱着をしやすいように開発されたという説があります。よって、
履いたり脱いだりしやすい外羽根靴は、屋外でバリバリ働く人向けだと言えるでしょう。
フォーマル度は内羽根より低く、ビジネスや休日に履く靴として取り入れるのがおすすめです。
デザインPOINT
デザインの違いよってフォーマル度が変わります。最もステータスの高い「ストレートチップ」からカジュアル向けの「スリッポン」まで、それぞれの特徴、フォーマル度をチェックしてみましょう。
DESIGN 1ストレートチップ
格式の高さで最上級と言えるデザインがストレートチップ。つま先に横一本線が入っているシンプルなデザインです。
「黒の内羽根ストレートチップ」がもっともフォーマルなデザインになり、ビジネスはもちろん、冠婚葬祭全てに対応できる万能な革靴なので、まず1足は持っておきましょう。
REGAL/ストレートチップ
メイドインジャパンのシューズブランド、王道と言えば「リーガル」です。
国内製造で、日本人に合わせた革靴を50年以上にわたり作り続けている、紳士靴の老舗ブランド。
リーガルのストレートチップは、キメが細かい質の高い牛革が美しく、シワになりにくいのもおすすめポイントです。
丸みを持ったトゥの曲線が優雅な印象。 価格は25,300円(税込)と安くはないですが、本物の品質を求めるならコスパ良好だと言えるでしょう。
DESIGN 2プレーントゥ
プレーントゥは、つま先や甲に一切の装飾が施されていないシンプルな革靴です。
見た目の美しさや品格はストレートチップと同等ですが、古い歴史と伝統があるストレートチップの方が、よりフォーマル度が高いと言われています。
ビジネスシーンにおいてもっともスタンダードなシューズです。
texcy luxe(テクシーリュクス)/TU-7001
スポーツ用品メーカーで有名なアシックス。その子会社が取り扱うテクシーリュクスのシューズは、機能性を重視した履き心地抜群の商品展開が特徴です。
履き口のスポンジパッドやサイドゴアにより、まるでスニーカーのような脱着のしやすさ。また安定性、耐久性、軽量性に特化したアウターソールも注目ポイント!
使いやすさだけでなく、もちろん牛革も良質。ツヤハリのあるボックスレザーを採用しています。
DESIGN 3セミブローグ
縫い目にブローキング、つま先部分にメダリオンと呼ばれる穴飾りが施されたデザインをブローグと呼びます。その中で、甲部分のブローキングが一文字状になっているシューズをセミブローグと呼びます。
ブローキングはもともと水はけを良くするために作られましたが、現在ではデザインの1種として認知されています。
Clarks(クラークス)/オリバーリミット
1825年から続く、イギリス発の老舗革靴ブランド「クラークス」。長年の歴史があるメーカーで、モダン、クラシック、スポーティなど様々なスタイルのシューズを数多く生み出しています。
中でもセミブローグの革靴「オリバーリミット」は、装飾(ブローグ)の繊細な配置や足にフィットするサイズ感など、ディテールにこだわったイギリス紳士らしい1点に。
見た目だけでなく、クッション性を高める「Cushion Plus」やグリップ感を良くする「TPU」など、最新テクノロジーも採用している点も流石です。
DESIGN 4フルブローグ
ブローグシューズの中で、甲部分に「W」の切り返しとブローキングが入ったものがフルブローグです。
この「W」部分が、鳥が翼を広げているように見えることから、別名ウイングチップと呼ばれています。穴飾りが多いほど、カジュアルな印象が強くなり、ビジネスシーンで履く場合、ややカジュアルな印象になります。
HAWKINS(ホーキンス)/ZA4225
1850年創業の、イギリスシューズメーカー「ホーキンス」。女王陛下の乗馬ブーツの制作に携わり王室御用達の指定を受けているブランドです。
そんなホーキンスのフルブローグの革靴「ZA4225」は、生後2年以内の中牛から採れたキメ細かい上質な革を使用し、グッドイヤー・ウェルト専門の工場で作られるなどこだわりを感じます。
デザインはトレンドよりも伝統的な味わい深さを重視しており、40代以降の男性も履きやすいでしょう。
DESIGN 5モンクストラップ
モンクと呼ばれるストラップで固定するタイプの革靴。きちんとした場面では、基本的に紐靴がマナーになるので、モンクストラップはどちらかと言えばカジュアル向けになります。
ただし、スタリッシュな見た目が人気なので、カジュアルなパーティーなどに向いているでしょう。
ストラップが1つのものをシングルモンク、2つ付いているものをダブルモンクと呼びます。
MODELLO(モデロ)/DM8003
大正10年から続く日本のシューズメーカー「マドラス」。そのセカンドラインとしてスタートしたブランドが「モデロ」です。
アクティブな現代人の生活に合わせた、履き心地の良さを追求しており、クラシックな雰囲気と程よいトレンド感を含んでいる点が人気。
DM8003は、細身のシルエットが魅力で、ライニングには防水テクノロジー「event」を搭載。 オリジナルのセラミック入りソールで雨にも強く濡れた路面でも滑りにくい安全設計が特徴。
DESIGN 6Uチップ
つま先の切り替えが「U」の字になっているUチップ。モカステッチというU字の縫い目が特徴的です。
ルーツは、漁師、狩猟者、ゴルフ用など様々な説があります。そのため、脱ぎ履きし易い外羽根が多く、堅牢な作りのモノが多い。いずれにしても屋外でアクティブに働く人向けの革靴であることが分かります。
HYDRO-TECH ULTRA LIGHT(ハイドロテックウルトラライト)/HD1311
防水性、通気性、高軽量、高クッションなど、数々の機能性シューズを開発して、ビジネスマンの足元を支えてきた国内ブランド「ハイドロテック」。
ハイドロテック・ウルトラライトは、とにかく軽い計量設計が最大のポイントです。また日本人の足に合わせた3E(幅広設計)も、沢山歩くビジネスマンにおすすめ。
機能ばかりではなく、本革使用、Uチップの滑らかな曲線のデザイン性など、スタイリッシュな紳士靴としても高評価◎
DESIGN 7スリッポン
足の甲部分が開いた形のスリッポンは、「貴族の室内靴」といった諸説があり、礼装ではなかったことが伺えます。そのためフォーマル度は一番低い位置になります。
その中でも甲の部分にサドルと呼ばれる装飾が付いたコインローファーが定番で、スニーカーよりフォーマル感はありますが、紐靴よりカジュアルです。
HARUTA(ハルタ)/#920
国内の老舗ローファーメーカーとして有名なハルタ。
様々なブランドとコラボレーションするなど、人気がうかがえます。
こちらのコインローファー「#920」は甲からつま先にかけてのフォルムがスタイリッシュで、オトナ仕様のローファーです。ビジネスでもデイリーにも、シーンを選ばず使える1足。
「オフコーデに革靴はかしこまりすぎ?でもきちんと感を出したい。」 そんな時に、カジュアルな革靴のローファーが活躍するでしょう。
コバPOINT
アッパー(足の甲を覆う革)とソールを縫い合わせた、縫い目の部分をコバと呼びます。このコバの形もフォーマル度を定める1つの要素。
アッパーに対してソールの突起部分が広いコバは、縫い目が目立ち、靴のボリュームが出る。見た目からしてもカジュアルな印象です。
一方アッパーとソールの縫い目がほとんど見えない狭いコバは、シュッと引き締まった見た目で、スーツに良く合うスマートな印象です。
ちなみに、コバの形は製法によって決まります。代表的な製法は以下の2点。
- コバの広い靴(カジュアル向け)は、丈夫で壊れにくいグッドイヤー・ウェルト式製法
- コバの狭い靴(フォーマル向け)は、使いこむと足に馴染みやすいマッケイ式製法
色POINT
礼儀作法が求められる場では、基本的に革靴の色は黒一択です。黒以外の靴はルーズに見られてしまうこともあるので注意が必要です。
冠婚葬祭に適しているのはシンプルな「黒の内羽根ストレートチップかプレーントゥ」と言われています。シチュエーションによっても変わってくるので、自信がない人は「黒の内羽根ストレートチップかプレーントゥ」を履くようにしましょう。
ビジネスや休日のファッションとしては、ブラウンや赤茶色系の革靴もOKなので、「黒はフォーマル」「黒以外はカジュアル」と覚えておくと分かりやすいですね。
靴と洋服のバランスを解説ビジネスコーディネート
羽根、デザイン、コバ、色。これらの要素によって、フォーマル度が決まることが分かりました。
革靴の選び方が理解できたら、次に意識したいことは洋服とのバランスです。
「靴はフォーマルだけど、服がカジュアルすぎる…」
そんなミスマッチを起こさないために、ここからは、革靴のデザインに合わせたビジネスコーディネートを紹介します。
ストレートチップShoe Design
ストレートチップの特徴、ビジネスシーンでの着こなしポイント特徴 &
着こなし
もっとも正式なスタイルと言われているストレートチップ。色は黒、そして内羽根だと、さらに公式な見栄えになります。
ビジネスシーンで着用する場合はスーツスタイルが一番ハマります。ジャケパンスタイルには、スラックスを選びましょう。
コーディネート解説
フォーマルな黒の内羽根ストレートチップは、スーツスタイルとの相性が良いでしょう。デニムやチノパンなどカジュアルなパンツには合わないのでご注意を。
紹介するスタイリングは、清々しい印象で好感度アップも期待できるネイビースーツと合わせたコーディネート。ネクタイの色もスーツに合わせてブルー系に統一すれば、慎ましいスーツスタイルの中に、若々しさもプラスされます。
また、ストレートチップをチャコールグレーなどのダークカラースーツと合わせると知的で誠実な印象を高めてくれます。
プレーントゥShoe Design
プレーントゥの特徴、ビジネスシーンでの着こなしポイント特徴 &
着こなし
つま先部分の切り替えがない、一枚革であしらわれたシンプルなプレーントゥ。
外羽根プレーントゥは、ビジネスシーンで一番使い回せるデザインです。 スーツからジャケパンスタイルなど幅広いコーディネートに取り入れられます。
コーディネート解説
今回はジャケパンスタイルに小柄なハウンドトゥースチェックのジャケットをチョイス!
チェックジャケットは濃い色のパンツを合わせることで、スタイリングが引き締まりビジネスでも取り入れられます。
ネクタイはシャツとジャケットの色に合わせて、ホワイト&ブルーを取り入れると統一感がアップします。チーフも色を合わせることを忘れずに。
シンプルなデザインのプレーントゥは、洗練されたスマートなコーデに磨きをかけるでしょう。
セミブローグShoe Design
セミブローグの特徴、ビジネスシーンでの着こなしポイント特徴 &
着こなし
穴飾りが華やかで、ドレッシーな印象のセミブローグ。
程よい装飾度でビジネススタイルの足元を華やかにしてくれます。
メダリオン(トゥの穴飾り)の種類も様々なモチーフがあるので選ぶ楽しみもあります。
キレイめなコーディネートと相性がいいでしょう。
コーディネート解説
装飾の付いたセミブローグの革靴は、キレイめにまとまりやすいスラックスが良いでしょう。
デニムやチノパンでも問題ありませんが、スリムタイプのすっきりしたパンツを選びましょう。
締まりが効いたスタイルに合わせるのもいいですが、靴の装飾に合わせてVゾーンが華やかなクラシックスタイルもおすすめです。
ドット柄タイに色を入れて、遊び心を取り入れるのもGOOD!
フルブローグShoe Design
フルブローグの特徴、ビジネスシーンでの着こなしポイント特徴 &
着こなし
装飾の強いフルブローグは、デニムなどにも合わせやすいカジュアル感が魅力。
ジャケパンコーデにもしっくりハマり、内羽根のスマートなフルブローグはスーツスタイルのカジュアルダウン要素として活用できる多様性のある革靴です。
コーディネート解説
紹介するコーディネートは、定番のネイビージャケットにグレースラックス。
装飾の派手さに加えて、コバの形も大胆に広くデザインされている外羽根のフルブローグはカジュアル感が強めでノータイスタイルが◎
ノータイの場合は襟が開いたホリゾンタルカラーでカジュアルに着こなすのがおすすめ。
フォーマル度は中間なので、オフィスカジュアルに取り入れやすい革靴です。
モンクストラップShoe Design
モンクストラップの特徴、ビジネスシーンでの着こなしポイント特徴 &
着こなし
モンクストラップはトゥがプレーントゥ、ストレートチップなど、デザインに関わらず、基本的にフォーマル度が低めのおしゃれシューズです。
シングルモンクは上品なスタイリングに、ダブルモンクはカジュアルな着こなしに好相性。
コーディネート解説
スマートな佇まいのシングルモンクストラップは、きちんと感のあるパンツとの相性が良いでしょう。
明るいカラーのスラックスに、ミディアムグレーのジャケットを合わせてスタイリングにメリハリをつけています。
グレーの無地ジャケットは、少し重たい印象になってしまうので、シャツに発色の良いブル―を取り入れて軽い着こなしに。
黒モンクストラップ、ベージュ、グレー、ブルーの4色を、バランスよく組み合わせたコーデに仕上がっています。
UチップShoe Design
Uチップの特徴、ビジネスシーンでの着こなし特徴 &
着こなし
Uチップはストレートチップやプレーントゥと比べると、つま先に余裕がありソフトな印象。
カジュアルなコーディネートとの相性がバツグンです。 ビジネスシーンで履く場合はカジュアルダウンしたスタイルに合わせましょう。
コーディネート解説
穏やかな丸み、ゆとりのあるサイズ感、見た目からしてもUチップはカジュアルアイテムの1つです。
スーツに合わせて出勤している人もたまに見かけますが、基本的にUチップはデニムやチノパンなどのカジュアルなパンツに合わせましょう。
こちらのコーディネートは、デニムに白のボタンダウンシャツといった定番カジュアルスタイル! ニットタイやタイピンを取り入れると、小慣れ感のあるビジネススタイルになります。
ローファーShoe Design
ローファーの特徴、ビジネスシーンでの着こなし特徴 &
着こなし
ローファーとは、スリッポンの一種で、Uチップのスリッポンに甲革をあしらったものです。代表的なものはコインローファー、タッセルローファー 、ビットローファーがあります。
ローファーは夏のオフィカジファッションに欠かせないアイテムです。
コーディネート解説
軽い印象のコインローファーは、パンツの丈に注意しましょう。裾がローファーに覆いかぶさってもたついてしまうとだらしなく見えるので、裾の長さはノークッション(裾が靴に当たらない程度の長さ)からくるぶし丈がすっきり見えます。
カジュアルアイテムなので、上半身にポロシャツを合わせて軽やかな着こなしもできます。
ローファーをビジネスで履く場合は、スラックスやジャケットなどどこかにドレスアイテムを取り入れましょう。
NG例No Good
最後に「ちょっとこれはミスマッチ?」といったNG例を紹介します。
間違えた着こなしで出勤している男性は意外と少なくないので、失敗しないためにも、NGな組み合わせを確認しておきましょう。
NG例①スーツ×ローファー
タイドアップでビシッと決めたスーツスタイルにローファーはNG!
はずし(1つのアイテムだけ、あえてジャンルを変える)を含ませているようにも見えますが、ビジネスファッションとしては奇抜すぎてしまいます。
NG例②ポロシャツ×ストレートチップ
ポロシャツにチノパン、そしてシューズはフォーマルなストレートチップ。
このような男性を見かけたことはありませんか?
フォーマル度の高いストレートチップを履く場合、カジュアルなポロシャツはミスマッチです。 ワイシャツにジャケットを合わせるのが好ましいでしょう。